自然観察学習園で育てた祇園辻利のお茶の木が契機となり、
昨年の京都へのお茶学習会に続いて、
今回は茶聖と呼ばれる千利休の生誕の地、
堺を訪れることになりました。
朝9時20分に東天下茶屋駅に集合して、いざ堺へ!
始めに「綾ノ町」停で降り、明治5年創業の「水野鍛錬所」へ向かいました。
日本刀や庖丁を鍛える工房で、
水野家5代目の水野淳氏に中を案内してもらいました。
工房内は薄暗く、火を起こす鞴や鉄製の工具が沢山並び、
昔見た映画やドラマの鍛屋さんそのもので、
今も「るろうに剣心」の撮影現場として使用されているとのこと。
その鍛冶場で刀の原料である「玉はがね(砂鉄と木炭が層状に固まったもの)」の実物を見せて頂きながら、刀作りの要である鍛錬について説明して頂きました。
てこ棒の先に玉はがねを二つ折りにして付け、1300度の火で熱しながら3人がかりで槌で叩いて玉鋼を何層にも伸ばしていくそうで、
この工程を「折り返し鍛錬」と言うそうです。
3人の息が合えば「トン、テン、カン」と槌音が聞こえ、息が合わないと「トン、チン、カン」と聞こえる事から、
辻褄が合わない事を表す「とんちんかん」と言う言葉が生まれたそうです。
刀に纏わる日本語は他にも、優れた刀には折り紙がつけられていたことから「折り紙付きの」
不良品の刀に札がつけられていたことから
「札付きの悪」、刀が鞘に入らない「反りが合わない」等、多くの日本語が現代に残っていると教えて頂きました。
普段は見られない鍛錬の様子も、
毎年11月3日には公開されているそうで、今度は子ども達とも見学に来て、
日本文化の伝承技術を間近で見てみたいと思いました。
また「堺七まち雛飾りめぐり」のイベントに合わせて、建物2階で古くからの雛人形が飾られており、
手の込んだ飾りやお道具にも伝統文化の細やかさを感じました。
同じ「綾ノ町」停そばに、江戸時代初期の庄屋「山口家住宅」も有り、徒歩で向かいました。
この地域は堺環濠都市の中にあって、第二次世界大戦の戦禍を免れた為、町家が多く残っていました。山口家もその一つで、
入ると大きな土間があり天井には太い松の木の梁が見え、吹き抜けており、
焚き物の煙が昇って上部の窓から抜けるようになっています。
広い座敷や茶室、枯山水の日本庭園等、昔の日本家屋の様子がよくわかりました。
私の一番の発見は、雛飾りのお道具でしか見たことのない、 針山が高い位置にあるお針箱の実際に使用されていた家具が有ったことです)。
その後、再びチン電に乗って「大小路」停で降り、お待ちかねのランチタイム。
町家を改装した「さかいのま」カフェにて、ベトナム料理を頂きました。
お喋りしながら美味しい料理を食する楽しいひと時でした。
最後に宿院町まで歩いて、今回の遠足のテーマである千利休の生誕地跡や、
「利晶の社」へ行きました。「利晶の社」では茶室に入って、お点前体験をさせていただきました。
裏千家流のお点前で、お辞儀からお茶や和菓子の頂き方、お茶の立て方まで教えて下さり、
見かけより難しいお茶の立て方に悪戦苦闘しました。
此処でも、お椀を眺めたり、床の間に飾られた花を愛でたり、
日本の豊かで静かな自然と共に育まれた文化を肌で感じることが出来、
貴重な体験をさせて頂きました。
お点前後は展示室で、千利休や与謝野晶子の生涯についての資料を見ました。
茶道の三千家である「裏千家」「表千家」「武者小路千家」は
千利休の孫の千宗旦の子供らが作った事など詳しく解説されていました。
お点前体験の席でも、流派の違いでお茶を泡立てて頂く裏千家に対し、泡立てない表千家があるとお話して頂いたことを思い出し、
日本人の繊細な心の文化に触れることの出来た遠足で、
改めて日本文化の奥深さに驚いた旅でした。実りの多い体験会になりました。
皆さん、お疲れ様でした。